青春のにしこころ苺喰ふ 水原秋櫻子
苺つぶす青春に悔なしとせず 千原叡子
いちご熟す去年の此頃病みたりし
正岡子規
多くの俳句に読まれている『いちご』
正岡子規が上の句を読んだのは、明治29(1896)年。
去年の此頃とは、前年の五月のこと。
五月から六月にかけては、露地物のいちごが食べられる時期である。
いちごといえば、
現代っ子は冬の食べ物だと思っているだろう。
ハウス栽培ではない自然生りのいちごは、今の季節に生る。
ゆえに、いちごは初夏の果物なので、俳句では夏の季語である。
現代はハウス栽培により、一年中、旬を問わず野菜や果物が食べられる。
季節感が薄れていく現代では、季語の季節も変動していくかもしれない。