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都人の桜

 いにしへの奈良の都の八重桜 今日九重に匂ひぬるかな 伊勢大輔
  
 もろともにあはれと思へ山桜 花よりほかに知る人もなし 前大僧正行尊

 世の中にたえて桜のなかりせば 春のこころはのどけからまし 在原業平


在原業平は天長二(825)年生、元慶四(880)年没の平安時代の都人。

業平が詠んだ平安時代の桜とはどんなものだったのだろうか。

嵯峨天皇(786~842)が桜を宮中に植えて宴でめでたのが日本初の花見と言われている。
そのころの桜は、山桜であったろう。
嵯峨天皇は、ニ尊院を建立された。
現在のニ尊院の参道には50メートルほどの桜並木があるという。

二尊院には

二尊院普賢象(にそんいんふげんぞう)
http://www.mint.go.jp/sakura/torinuke/sakura_05.html
という桜がある。
この桜は、いつ頃から二尊院にあったのだろうか。
写真を見ると淡い桜色である。

いにしへの奈良の都の八重桜 今日九重に匂ひぬるかな

小倉百人一首に歌われているのは、八重桜。

八重左近桜(ヤエサコンノサクラ)http://www.shinjukugyoen.go.jp/sakura/sakura2007.html


都人の心も捉えた桜。
東京でよく見られるソメイヨシノ(染井吉野)は、江戸時代末期の品種なので当然平安時代の人は見ていない。

ソメイヨシノの樹齢は60~70年位と言われている。
樹齢が長い桜は枝垂桜や江戸彼岸桜に多い。
日本三大桜といわれているものは、江戸彼岸桜と枝垂桜である。

日本三大桜
根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)(岐阜)
http://www.city.motosu.lg.jp/sights/306/000312.html
樹齢およそ1500年のエドヒガンザクラ。満開はつややかな白、散り際には淡墨色になることから淡墨桜と名付けられた。

神代桜(山梨)
http://www.city.hokuto.yamanashi.jp/hokuto_wdm/html/joy-m/36967203865.html
実相寺にある樹齢およそ2000年のエドヒガンザクラ。2000年もの間、ただ一度も休むことなく、花を咲かせ続けている。

三春滝桜(福島)
http://www.town.miharu.fukushima.jp/03kanko/01takizakura/02_0101setumei.htm
樹齢千年以上とされるベニシダレザクラ。薄紅の小さな花が、まるで滝が流れ落ちるかのように見えることから、滝桜とよばれるようになった。


都人が見ていたのは、枝垂桜か彼岸桜なのだろうか。
古代よりその地で咲き続けてきた桜は、人知れず連綿と続く歴史を見てきた。
もの言わぬ桜が伝えるものは、時代が変わっても変わることなく生き続けていく命の営み…。
どんな時代でも、変わることなく咲き続けてきた桜の強さと儚さに心引かれるのは、都人も現代人も変わらないのであろう。